情報収集の手段として少し前まではキーワードを検索エンジンにかけていた人も今日ではSNSを使用するのはもはや当たり前になっています。
何らかの事象、たとえばアイドルグループに所属する〇〇ちゃん専用アカウントだったり、韓国コスメ専門のアカウントがあったりします。
SNSと距離をとっていた時期があるので若干ふわりとした記憶ではありますが、instagram流行の最初の頃はインフルエンサーが自己アピールの手段として自撮りやら他撮りやらを掲出していたもので、イメージ以外の情報は少なかったし、何かを検索しようにも特定のアカウント名が分かっていたり特定のハッシュタグを使用していたりしないと行きたい情報に辿り着くのは難しかったです。
その代わり、発信者が伝えたいことも大抵は視覚情報で完結しているため、facebookやtwitterと異なり言語の通じない者同士の交流も生まれ、それがさらにinstagramの面白さを増していた印象でした。
さて、視覚情報のインフルエンサーブームがひと段落すると今度は一般人の情報発信を目的とするアカウントが増えました。並行してcookieやらAI技術やらの進歩でかなり精度の高い興味のある情報を吸い上げることができるようになり「検索」という行為を不要にする方向へ世の中は向かっているようです。
そうするとinstagramに新たに事典としての要素が生まれてきました。
面白いなと思ったのは、ウエディングや注文住宅購入など人生の一大イベントに特化したアカウントです。
どちらも、個人の実体験を写真と文章でまとめていらっしゃるもので、おそらく半分はご本人が記録として残し後々思い出を振り返りる目的。後の半分は同じようなイベントを控える人への先人の知恵として記録しているのではないかと思われます。
たとえば結婚式のアカウントだと憧れの〇〇ホテルでの挙式を決定するまでに、いくつの式場を回った。ここは有名なチャペルで、ドレスはあちらの先生のものを持ち込みしてヘアメイクはinstagramで話題のあの先生にお願いして。写真を有名な螺旋階段で撮ってもらうためにどういう条件があるか。(そんな階段があることも知りませんでした。花嫁界では有名らしい。)
結婚情報誌はビジネスモデルとしては広告集ですから花嫁の実体験も多少掲載されていますが得られるのはアウトラインと地域の式場の概要だけです。だからと言ってそれを全く買わなくなったわけではないでしょうが、みなさん基本的にはinstagramで情報収集し、またご自身のプロセスもレポートしてさらに知恵が蓄積されているようです。
時節柄結婚式を泣くなく延期しつつも同じ状況の人と慰め合ったり、コロナ禍で開催するにあたってこういう工夫をして成功した、などと発信している人もいて、実体験のない身としてはへぇ〜ほぉ〜と言いながら興味深く読んでしまうのでした。
また、注文住宅の方は、コンセントはこう配置したとか、玄関の作りは雨の日のことを考慮せず後悔している、など。工夫して良かった点も節約して後悔した点も語られておりこれまた関心しながら読み漁ってしまうのでした。(家を建てる予定はない)
マイホームのある人でしたら常識なのかもしれませんが、洗面台の数が固定資産の評価額に影響したり、床の素材の違いもポイントになるなど、家を建てようと思わない限り意識しない情報も多く存在します。(何だか英国の窓税の話を思い出しますね)
どれもこれも一つひとつ調べて決定を下してというプロセスだけでも面倒には違いないのですが、大きな失敗をしたらやり直しが難しいイベントです。
彼らのようにそのことが本当に好きでなければ投稿をまとめることもないでしょうからどのアカウントにも何だか慈しみを覚えつつ、今日もちびちびとコーヒーを啜るのでした。